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  • 自律型企業の実現: AI を活用した運用モデルの構築方法

RAND の調査によれば、AI プロジェクトの約 80% が失敗しており、これは AI を活用していない IT プロジェクトの2 倍の失敗率だと推定されています。 その根本原因として、チームは質の悪いデータ、脆弱なガバナンス、ROI の不透明さを挙げますが、もう一つ明らかな原因があります。それは、レガシー システムに AI を無理やり組み込もうとすることです。 問題なのは技術面におけるレガシー システムだけではありません。古いタイプの働き方にも問題があります。

自律型企業へと進化する道のりにおいて、技術は基盤となります。 人間の労働者が AI による支援に慣れ親しむにつれ、業務全体のプロセスにおいて人間と AI の協業が進みます。これがコラボレーティブ インテリジェンスと呼ばれるものです。

企業が AI 能力の成熟度を高めていくにつれて、AI はより多くの業務を担うようになり、人間の役割は監視へとシフトしていきます。 ただし、この AI を活用した運用モデルでは、AI を戦略的な事業目標と整合させるために、ガバナンス、組織構造、プロセス、業績管理の見直しが必要になります。

皮肉なことに、AI 導入の可否を左右するのは、技術そのものではなく、むしろ技術以外の要素です。このことについて探ってみましょう。

AI を活用した運用モデルの 5 つの要素

AI が導入されていない段階では、人間がほぼすべての業務を行い、管理します。 しかし、完全自律型企業では、その役割が逆転し、AI が業務のほとんどを行います。

このバランスを以下に示します。 企業がコラボレーティブ インテリジェンスのための能力成熟モデル (CI-CMM) に沿ってその成熟度を高めていくにつれて、人間の作業者は業務プロセスの第一線から離れ、AI の判断や行動を監督し、検証するようになります。 このように役割がシフトする中、AI がますます多くの業務プロセスに組み込まれ、従業員は新たな AI アプリケーションを試したり検証したりすることができるようになり、得られるメリットも増大し続けます。

しかし、AI 導入の取り組みを「業務プロセス」に限定してしまうと、成功に不可欠な基盤整備や変更管理の多くを見落とすことになります。 AI を活用した運用モデルの構築を目指すうえでの AI 能力成熟度の向上は、成功の鍵となる 5 つのコア要素を考慮して、それらを積極的に取り入れる包括的なプロジェクトスコープに基づいて進める必要があります。

1 - プロセスと手順

前述の調査において、RAND は AI プロジェクトが失敗する主な原因は「解決すべき問題の誤認」であると結論づけました。 業務の進め方を理解することは、AI の能力成熟度を高めるための重要な前提条件です。

AI 導入の実験段階および初期段階にあるほとんどの企業では、AI は文法の修正、データの検索、情報の要約といった補助的な役割にとどまっており、AI の導入によって得られる最大のメリットは作業時間の短縮です。 AI 能力の成熟度が高まるにつれて、AI はより重要な役割を担うようになり、企業における活用範囲と価値が高まっていきます。 AI 活用の成熟度の低い企業では、例えば請求書の分類に AI を活用する程度ですが、成熟度の高い企業では、AI を活用して請求書を分類、検証、承認し、その後支払いを処理しながら、例外対応も管理しています。

AI の導入を開始して、継続的な成功を実現するためには、業務プロセスを明確に定義し、目指す成果や目標を理解し、AI による完全自律型運用に向けて業務を最適化する必要があります。

2 - システムとツール

業務プロセスが定義され、目標が明確になると、AI の技術的基盤を構築することができます。 あらゆる技術導入と同様に、そして最近の AI の急速な進化を考慮した場合、レガシー ツールでは、今日の企業の期待に十分応えることは難しいでしょう。 こうした点は、最新の AI インフラストラクチャを選択する際にも参考になります。

AI を活用した運用モデルを構築するためのベスト プラクティスでは、スケーラブルで相互運用可能なプラットフォームを優先し、特定のベンダーに依存しないツールを備え、あらゆるカスタムまたはサードパーティ ベンダーの AI モデルやプラットフォームとも接続できることが求められます。 多くの企業は、まず AWS、Azure、Google などの一般的な基盤モデルから始めます。 しかし、成熟度が高まるにつれて、独自の AI モデルを構築できる選択肢があることで、柔軟性や拡張性が高まり、独自性の高い、特殊で専門的なビジネス ニーズにも対応できるようになります。

AI 導入の規模を拡大するためには、AI エージェントと自動化を組み合わせて、複雑な業務プロセスを自律的にエンドツーエンドで実行できるようにするオーケストレーションが必要です。 オーケストレーション ツールには、例外処理、組み込みのアクセス制御とコンプライアンス チェック、監査機能が備わっているべきであり、それによってエージェント ワークフローが企業全体に拡大する中でも、ガバナンス機能を追加できるようにする必要があります。

3 - 人と役割

自律型企業を構築するには、変更管理が非常に重要です。 AI への信頼が高まるにつれて労働者は適応し、成長していきます。AI との協働によって実際的かつ大きなメリットがもたらされ、従業員はより価値の高い創造的・戦略的な業務に集中できるようになります。 重要なのは、人を AI の取り組みの中心に置くことです。

また、AI を活用したスケーラビリティを加速するためには新しい役割も必要となります。 AI の能力の成熟度が高まるにつれて、AI エンジニア、プロンプト エンジニア、ガバナンス リードなどの比較的新しい職種が必要とされるようになります。 すべての役割において、労働者は本来の業務に取り組み、他者と協力し、AI ツールやプラットフォームを活用して成果を高めるために、コア業務、人的役割、AI の責任を担うことになります。

4 - ガバナンス、リスクおよびコンプライアンス

AI の能力成熟度を高めるには、AI の成果に対する信頼が必要であり、その信頼はコンプライアンスの強化やリスクの軽減を図る効果的なガバナンスによって支えられています。 責任ある AI の導入には、セキュリティ、プライバシー、透明性などが求められ、これらはすべて効果的なガバナンスが確保されたことによりもたらされます。

ベスト プラクティスでは、説明可能性、監督体制、そして公正性を担保するために、NIST および ISO に準拠したポリシーに従うことが推奨されています。 従業員や AI エージェントには、リアルタイムのガードレール、アクセス制御、監査機能が必要であり、これにより、「シャドー IT」を防止し、コンプライアンスを維持し、問題が発生した際にはその原因を迅速に特定して、迅速に是正措置を講じることが可能になります。

5 - パフォーマンスと継続的な改善

成熟度の向上は継続的な改善と同義です。 改善は一貫したパフォーマンスに支えられています。 AI 能力の成熟度を高めるために使用されるプラットフォームには、問題や機会を特定し、継続的な改善を促進するフィードバック ループが必要です。

「測定されるものは管理される」、つまりスコアカードを使用して、AI の目標や成果に結び付けられた KPI を設定することが、最初の一歩として有効になります。 スピード、精度、ROI を測定することで、効率性や生産性の評価が向上し、AI の取り組みがもたらす成果の範囲が広がり、戦略的な目標との整合性も高まります。

自律型企業の姿とは

完全に成熟した AI を活用した自律型企業では、業務が人間の介入なしに自律的に運営されます。 自己学習型 AI エージェントやプラットフォーム、そして自律的な意思決定システムが、ほとんど、あるいはまったく人間の介入を必要とせずに、プロセスを管理・統制します。

その結果、労働者は、より戦略的で認知的な業務、意思決定、プロセスに集中できるようになります。 ただし、自律型企業の運用には、人間がまったく必要ないというわけではありません。 自律型企業とは、AI とエージェント オートメーションを活用することで、働く人々を進化させ、新たな働き方や集中力、創造性、イノベーションのレベルを高みに引き上げます。

実際に、こうした企業は、AI およびエージェント オートメーションを活用し、業務、在庫管理、スケジューリング、カスタマーサービスなどを、人間の介入なしに運営しています。 一方で人間は、特殊なケースや例外処理、重要顧客対応、対面業務などを担当しながら、AI を活用したプロセスの管理および改善を行います。

成熟度モデルから運営モデルへ

企業が成熟するにつれて、AI エージェントは単なるアシスタントの役割から進化し、人間は AI を活用したプロセスにより多く依存するようになり、最終的にはエージェント AI によるエンドツーエンドのプロセス自動化へと移行し、完全な自律運用が実現します。 CI-CMM は、自律型企業のビジョンを定義し、リーダーが現時点での自社の成熟度を把握し、改善に必要な要素を理解できるようにします。 その知識に基づいて、リーダーは AI を活用した運営モデルをさらに発展させるための取り組み、システム、プロセスを導入できるようになります。

成熟するためには、企業は必要なシステムを導入し、期待される能力を有効化する必要があります。同時に、労働者、ガバナンスのガードレール、パフォーマンス測定が整っていることを確認し、継続的な改善を追跡、管理、指導できるようにする必要があります。

段階

特性

システム

能力

ステージ 1: 初期段階における人間主導の AI 支援

基本的な AI ツールを活用して意思決定をサポートするが、かなりの監視が必要である

データ分析ツール、基本的な AI ソフトウェア、意思決定支援システム

AI ツールおよびその機能に関する基礎的な理解

ステージ 2: AI 支援による意思決定から生まれる新たな協力体制

価値のあるインサイトや強化された意思決定プロセスを通じて、人間の意思決定を強化、改善、加速させる

高度な分析プラットフォーム、機械学習ツール

中級レベルのデータ分析、AI ツール操作スキル、高度な人間と AI のコラボレーション技術

ステージ 3: 人間と AI のバランスの取れた協力体制

人とテクノロジーが協力しエンドツーエンドのプロセスを完了させ、大きな目標の達成に向けて取り組む

統合 AI システム、予測分析、コラボレーション ツール

AI システムとのコラボレーションとコミュニケーション、統合 AI システムに関する知識、AI との協働による問題解決

ステージ 4: 高度なコラボレーション: AI 主導、人間による監督付き

AI が情報を提供し、プロセスを実行するために人間が介在する (HITL) 監視を行い、高い自律性を持ちながらも人間が重要な決定を下す

自律型 AI ツール、リアルタイム分析システム

高度な AI 戦略の開発、自律型 AIツールの使用経験、倫理的配慮

ステージ 5: 完全自律型の運用を行う自律型企業

運用は独立して機能し、自己学習型 AI プラットフォームが最小限の人間の介入でプロセスを管理および統制する

自己学習型 AI プラットフォーム、自律型意思決定システム

AI ガバナンスの専門知識、自己学習システム管理、自自律型意思決定プロセスの理解

今すぐ構築を始めましょう

マッキンゼーによれば、企業の 4 分の 3 以上が、少なくとも 1 つの業務領域で AI を導入しています。 効果的に競争しようとする企業にとって、AI はもはや必須条件です。 競争に勝ち抜くには、AI の成熟度を高めることが最優先事項でなければなりません。 同じマッキンゼーの報告書によると、企業の半数近くが、3 つ以上の業務領域で AI を導入しています。

AI を早期に導入した企業はすでに他社を引き離しています。 その一方で AI の評価や試行段階にとどまっている企業は、遅れをとっています。 AI の革新のスピードは、企業のリーダーたちに対し、自律型企業への道のりを根本から見直すことを強く促す十分な理由となるはずです。 そして、これはいつか達成すればよい長期的な目標などではありません。AI を活用した運用モデルは、すでに着手していなければならない競争優位の要素です。

成熟度の低い企業には、取り組むべきことが山積しています。 自律型企業を構築すべき時は、まさに今なのです。

次なるステップとして、CI-CMM ホワイトペーパーをダウンロードして、あなたの組織が企業のあらゆる業務の次元で AI をどのように運用できるかをご確認ください。

概要 ラマン・ディロン

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ラマンはオートメーション・エニウェアのIT AI Opsディレクターです。

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