自律型サポートを企業全体に拡大する

最初の自律型事例を本番環境に導入することは、重要なマイルストーンです。 しかし、自律的解決がサポート組織の業務体制の一部となったとき、より大きなチャンスが訪れます。 そのためには、個々のワークフローの枠を超えて、サポートのライフサイクル全体にわたるシステム、知識、プロセス、ガバナンスを AI エージェントと連携させる必要があります。

目標は、既存のサポート基盤を置き換えることではありません。 目指すべきことは、システム全体にわたって推論を行い、行動できるインテリジェントなレイヤーを構築することです。そして、人が各ステップを手作業でつなぐことなく、より多くの課題を「検出」から「解決」へと導けるようにすることです。

あらゆる解決策の背後にあるシステムを連携させる

ほとんどのサポート組織は、必要な技術の多くをすでに備えています。 問題は、これらのシステムが一つの連続した解決プロセスとして機能するように設計されていなかったという点にあります。

システム同士が連携していない場合、その隙間を埋めるのはサポート エンジニアです。 エンジニアは、システム間での情報のコピー、複数のリポジトリの検索、ログの取得、エンジニアリング チケットの作成、顧客記録の更新などの業務を行い、ケースを進めるために必要な作業を手動で実行します。

自律型サポートは、こうしたモデルを変革します。 AI エージェントは、サポート環境全体から背景情報を収集し、適切な次のステップを推論して、システム間の連携を図ることができます。 サポート エンジニアが次に取るべき行動をただ提案するのではなく、その作業を自ら実行し、その結果を検証できるようになっています。

こうしたシステム横断的なオーケストレーションによって、AI による支援は自律的な問題解決へと進化するのです。

エージェントに単なる知識ではなく、適切なナレッジを提供する

第 3 章でご紹介したように、自律的な支援は、AI エージェントが利用できる知識の質に左右されます。 その要件は、エンタープライズ規模になるとさらに重要性を増します。 サポートに関する知識は絶えず変化しています。 新しいリリースのたびに新機能が導入され、エンジニアリング チームは新たな問題を発見し、サポート エージェントは新たな解決策を見つけます。 顧客は、組織がこれまで経験したことのない構成を採用します。

したがって、静的なナレッジ ベースはすぐに時代遅れになります。 組織には、サポートでのやり取りを、問題解決に役立つ知見に変換する継続的なプロセスが必要です。 解決済みの案件を分析することで、不足している知識や古くなった知識を特定し、成功した解決策を既存の記事と関連付けることができます。また、知識のギャップが存在する場合には新たな知識を生み出すこともできます。

人による介入は、そのプロセスにおいて極めて重要な役割を果たします。 AI エージェントがケースをエスカレーションし、エンジニアがその解決に成功した場合、その解決策は今後のパフォーマンス向上のための貴重な機会となります。 その解決策を記録し、関連するナレッジに取り込み、新たな情報に基づいてエージェントを評価した上で、将来のケースに活用できるようにします。

時が経つにつれて、ナレッジ基盤は製品とともに進化し、それに伴って自律的に解決できる範囲も広がっていきます。

評価を運用モデルに組み込む

従来の自動化は、比較的簡単に評価できます。 定型的なワークフローは、あらかじめ定められた手順を正しく完了したか、そうでなかったかのいずれかだからです。 一方、エージェント システムには、より幅広いアプローチが求められます。

サポート組織は、AI エージェントによるケースの分類、知識の取得、次のステップの推論、アクションの実行、顧客とのやり取り、そして人の支援が必要なタイミングの判断について、それぞれの方法を可視化する必要があります。 その可視化は、評価によって可能になります。 目標は、単にエージェントが「機能した」かどうかを判断することではありません。 自律的な解決がどこで成功し、どこで支援が必要だったのか、その理由は何だったのかを見極めることにあります。

こうした知見が、システムを改善するために必要なフィードバック ループを生み出します。 あるエージェントが特定の種類のケースを繰り返しエスカレーションする場合、チームは、その原因が知識の不足、システムへのアクセス権限の不備、エージェントの能力、ガバナンス上の制約、あるいは人間が主導すべき状況のいずれであるかを調査できます。

つまり、評価は品質管理以上の役割を担います。 組織が自律性を体系的に拡大していくための仕組みの一つとなるのです。

あらゆる自律的な行動にガバナンスを組み込む

AI エージェントにできることが増えれば増えるほど、それらが何を行うべきかを制御することが重要になります。 自律型サポートには、エージェントの権限、データ アクセス、承認されたアクション、エスカレーションの条件、そして人による監督に関して明確な境界を定める必要があります。

例えば、定型的なアクセス リクエストについては、あらかじめ定義された要件が満たされている場合、完全に自律的な解決を行うことは適切だと考えられます。 より重大な対応については、追加の検証や人による承認が必要となる場合があります。 また、自律的な実行には全く適さないと判断されるケースもあります。

適切な境界は、組織、事例、顧客、そしてリスクのレベルによって異なります。 目指すべきは、何が何でも最大限の自律性を追求することではありません。 重要なのは信頼に基づく自律性です。これは、組織がその知識、プロセス、制御、そして成果に対して確信を持てる領域ではエージェントが自律的に動作できるようにし、そうした条件が満たされない場合には人が関与するというものです。

組織が評価や実績を通じて信頼を築くにつれて、境界は変わる可能性があります。

引用

目指すべきは、何が何でも最大限の自律性を追求することではありません。 重要なのは信頼に基づく自律性です。これは、組織がその知識、プロセス、制御、そして成果に対して確信を持てる領域ではエージェントが自律的に動作できるようにし、そうした条件が満たされない場合には人が関与するというものです。

事前対応型のサポートを測定可能な能力へと変革する

自律的なサポートは、問題解決に向けた取り組みが始まるタイミングを変える機会ももたらします。 従来のモデルでは、平均対応時間や平均解決時間などの指標は、ケースが作成された後に計測が開始されていました。 しかし、最も優れたサポート対応とは、顧客が自ら連絡を取る必要さえないものです。

AI エージェントを監視、可観測性、製品システムと連携させると、サポート部門は、顧客環境における特定の異常や障害がサポート リクエストに発展する前に、問題を特定できます。 その上で、エージェントは診断情報の収集、適切な対応の判断、権限の範囲内での是正措置の開始、結果の検証、そして必要なサポート記録の作成を行うことができます。

これにより、サポートのパフォーマンスを評価する新たな指標が生まれます。それは、組織が顧客の問題にどれだけ迅速に対応できるかというだけでなく、顧客が重大な支障を経験する前にどれだけ多くの問題を特定し、解決できるかに焦点を当てたものです。 これこそが、事後対応型のサポートから事前対応型の解決への転換です。

自律性への進捗を測定する

サポート組織が既に活用している KPI は、依然として重要です。 平均対応時間、平均解決時間、チケット 1 件あたりのコスト、エスカレーション率、SLA パフォーマンス、そして CSAT (顧客満足度) は、より迅速かつ効果的なサポートを実現できているかどうかを明らかにしてくれます。 しかし、自律型サポートへの移行を進めている組織は、もう 1 つ次の問いを加えるべきです。 問題解決のプロセスのうち、人の労力が必要な部分はどの程度残っているでしょうか?

これはいくつかのレベルで測定することができます。 組織は、完全に自律的に解決されたケースの割合、人の支援を必要としたケースの割合、エスカレーションが最も頻繁に発生する箇所、そしてそれらの数値が時間の経過とともにどのように変化するかを追跡することができます。

KPI 測定対象
自律的に解決した割合 人間の介入なしでエンドツーエンドで完了したケースの数
人の支援が必要な割合 解決に至るまでに、エージェントが依然として支援を必要とする頻度
エスカレーション ポイント カスタマー ジャーニーにおいて、人による引き継ぎが最も頻繁に発生するポイント
経時的な推移 知識や評価が向上するにつれて、自律性が拡大しているかどうか

複雑なケースでは、進展があったからといって、支援型解決から完全自律型解決へと直ちに移行できるとは限りません。 以前はライフサイクル全体を通じてサポート エンジニアの関与を必要としていた L2 のケースで、AI エージェントがエンジニアを巻き込む前に分類、背景情報の収集、知識の検索、診断分析を自律的に実行できるようになったのであれば、組織はすでにそのケースの経済的側面を変革したと言えます。

次の目標は、残りの作業のうち、どの部分を安全に自律化できるかを見極めることです。 これにより、自律性は、「あるかないか」という最終的な状態ではなく、組織が継続的に向上させていける指標となるのです。

既存のサポートへの投資を活用する

自律型サポートに移行するにあたり、組織が既に拠り所としているシステムを置き換える必要はありません。 オートメーション・エニウェアのカスタマーサポート向けエージェント ソリューションは、サポート エコシステム全体で機能するように設計されており、問題解決に関わるアプリケーション、知識、データ、プロセスを連携させます。

自律型セルフサービスは、適切な定型的ケースをエンドツーエンド処理できます。 人の専門知識が必要な場合には、インテリジェントなエージェント支援機能がエンジニアをサポートします。 AI エージェントは、利用可能な背景情報に基づいて推論を行い、システム間の対応を調整できます。また、継続的な評価と知識の向上により、自律的に解決できる範囲が徐々に拡大されます。

その結果として生まれるのは、新たな孤立したサポート ツールではありません。 顧客を支える既存のシステムや知識を、より高度でインテリジェントな問題解決プロセスの一部として連携させるための手法です。

サポート部門のリーダーにとっては、それが測定可能なビジネス成果への道筋となります。

  • サポートのリソースを消費する定型的なチケットやエスカレーションの減少
  • 自律型および人間支援型のケース双方における解決の迅速化
  • エージェント、チャネル、地域を問わず、より一貫性のあるサポート
  • 情報検索やシステム間の移動にかかる時間の削減
  • 人員数を比例的に増やすことなく対応能力を拡大
  • 自律型解決の割合増加に伴うサービス提供コストの低減
  • 顧客がサービスの中断を経験する前に問題を検出・対処する機会の拡大

このメリットは、単に同じサポート業務を速くこなせるということではありません。 そもそもサポートのスケール拡大を難しくしていた手作業を、段階的に取り除けるという点にあります。

プレイブックへの限定アクセスを取得するにはサインアップしてください。

 

限定コンテンツのロックを解除

これで、完全なプレイブックにアクセスできるようになりました。

今すぐ見る
無料体験版 Automation Anywhere
Close

ビジネス向け

パーソナライズされた製品デモをご希望の場合は、クイック アクセスからお申し込みください

学生・開発者向け

すべての機能が無料で使えるクラウド版 Community Edition で、今すぐ自動化を始めましょう。